ほうじ茶とは?
「ほうじ茶(焙じ茶)」とは、番茶などの茶葉を強火で炒った(焙じた)お茶のことで、その材料に番茶、煎茶、茎茶を使うことから一般的には緑茶の一種だとされています。
茶葉を焙煎することによって生まれる独自の香ばしさが楽しめ、茶葉を炒る(焙じる)という処理が渋み成分(タンニン等)やカフェインを減らすため、お子さんやお年寄りにも安心して飲めるお茶として人気があります。
また、ほうじ茶には「脳をリラックスさせる効果がある」とも言われており、その多彩な香りとともに最近ではデザートの原料としても注目されています。
ほうじ茶の魅力
お茶の健康効果には、『カテキン』による「がん・高血圧・動脈硬化の予防」、『ビタミンC』による「ストレス解消・美肌効果」、『ビタミンE』による「抗酸化作用・老化防止」などがあり、その効能は数え上げたらキリがありません。
最近はTVなどでもその健康効果が紹介されていますが、ほうじ茶は、カフェインが少ないという特徴からお茶が持つこれらの効能をお子さんやお年寄り、妊婦さんなどでも安心して得られるのが魅力です。
また、ほうじ茶の産地として有名な京都や石川県では上質な茶葉を選りすぐった高級品があるものの、材料にあまり高級な茶葉を使用しない場合が多いので比較的価格が安いというのもほうじ茶の魅力と言っていいでしょう。
ほうじ茶の弱点
ただし、ほうじ茶は、茶葉を炒ることによって苦みや渋みが弱まり、カフェインの量も少なくなるので誰でも飲みやすいという利点がある一方で、茶葉の焙煎によってお茶が持つ本来の効能が少ないという弱点があります。
店頭に並ぶ高濃度茶カテキンを謳う特定保健用食品のお茶が純粋な緑茶をベースにしているのもそのためです。
また、材料となる茶葉に比較的低級なものを使うことが多いので、カテキンなどの健康成分がもともと少ないとも言われています。
ほうじ茶のリラックス効果をさらに高める
玉露や抹茶には緊張を和らげ心身をリラックスさせる効果のある“テアニン”という成分が多く含まれています。アミノ酸の一種であるテアニンには、リラックス効果の他にも血圧の降下作用や冷え性改善、睡眠促進などの効果があります。
ただ、残念ながらほうじ茶にはこのテアニンという成分が緑茶ほど豊富に含まれていません。
しかし、お茶を炒るという処理によって生まれるほうじ茶独自の香りにはテアニンを超えるほどのリラックス効果があると言われいます。
そのほとんどが糖によって封じ込められている300種類以上ものお茶の香り成分は、加熱することによって糖と離れて外に出て、いわゆる香りが開く状態になります。
お茶を炒ることによって出るこの香りが脳にリラックス効果を与え、ほうじ茶にあの奥深い味わいをもたらしてくれるというわけですね。
その香りはもちろん市販のほうじ茶でも楽しめますが、緑茶から炒ることによってその効果はさらに高まるので家庭に余っているお茶などでぜひ試してみましょう。
フライパンがあれば代用できますが、ここは専用の茶器でその行程を楽しむのが“粋(いき)”というもの。
浅草のお茶屋さん片山園 焙じ茶器 焙烙 黒
炒り方は簡単です。基本的には『煙が出るまで(1分〜2分)加熱して、あとは余熱で煙がおさまるのを(約1分)待つだけ』
この、『お茶を炒っている』という行程自体がさらにリラックス効果をアップさせるので、お茶本来の香りに加え、花の香り、ナッツやコーヒー豆の香り、柑橘系フルーツの香りなど次々と開いていく様々な香りとともに素敵な時間が楽しめます。
家中に立ち込める豊かな香りの中で、炒りたてのほうじ茶を味わうこのひとときは、究極の癒やし効果をもたらす瞬間といえます。